今回も会場満杯の33名の参加でした。
内容も大変ディープな例会でした。
金岡事務局長から30年7月の作品展の会場の紹介がありました。
梅田スカイビルのタワーウエスト西棟22階1stフロアで海の日の3連休で開催予定です。
搬入時間等の詳細は次回以降の例会で説明予定です。
堀会員から、前回、船体の外板張りについて詳しい説明がありました。
中嶋会員からウエルの張るタイミングについて意見が出されました。
中島会員から原則的にはウエルを先に張るが、クリンカービルト(鎧張り)の場合は、底から外板を張っていくので、最後にウエルを張った方が綺麗に製作できるとの説明がありました。
早川会員からは、クリンカービルトと銅版張りでは、また意味が異なるので注意がありました。
ベテランの先輩方々も加わった白熱した議論となりました。
堀会員からレディーネルソンの個々のアップグレードについての説明がありました。
マストに滑車を内臓しています。
あとのリギングでもこれが効いてきます。
ウインドラスも作り直しています。
大砲もカロネード砲を市販の12ポンド砲に換えています。
デッドアイ(三目滑車)のチャンネル周りも真鍮線を銀ロウ付けして輪を作っています。
銀ロウ付けは一寸ハードルが高そうですが、是非マスターしたいテクニックです。
クリートもキットものではな実際に索を巻き付けられないので、自作しています。
一寸手間ですがリギング作業のことを考えれば、ここで手間をかけたほうが後がズット楽です。
ファルカタ材を付けて黒く塗っています。
帆船模型は、アップグレードする部分と、簡略化する部分が分かってくると面白くなります。
まずは、セールプランの作成です。
年代、船の大きさの似たアラート号を参考にしています。
縦帆だけでなく四角い横帆もあります。
3本マストの船を作るときの練習にもなります。
生地は非常に薄いものを使っています。
生地の縦と横を意識して裁断します。
ヤードを付けた状態です。
造船所の様にマストを立ててヤードを組んでセールを付けたりはしません。
狭く、作業がしにくいので、事前に組めるものは全て組んでから、セットでマストを立てます。
結構手間ですが、じっくりと作業します。
後の見栄えが違ってきます。
キットのものは太すぎます。
またラットラインの間隔にも正確にとります。
ラットラインは直線ではなく下側にU型にたわみます。
注意したいところです。
帆の向きは、吹いてくる風をイメージして正確にセールを配置します。
風上のクローズホールドでは帆を絞ります。
索を止めるビレイピンの説明です。
実際に策が巻き付けられるように、ビレイピンの長さ、間隔を考えます。
船首、船尾の索の取り回しも事前に十分計画を練り手戻りのないようにします。
段取りをキッチリとして、諦めず、飽きずに、焦らずにリギングは進めていきます。
です。
会長は、真鍮加工で窓枠を仕上げられています。
ポンチで穴を開けて、ドリルで穴を開けます。
そこから四角く油目ヤスリで広げていきます。
慎重にしないと金属が伸びると処置無しです。
下絵を張り付けて、窓枠に沿ってドリルで穴を開けていきます。
枠を真鍮で作成します。
桟も段差を0.5mm程つけて表現しています。
窓枠は桟も精密に再現しています。
6面となったところで、粗削りをしているところです。
これを細く油目ヤスリで削っていきます。
絶対に曲がったり、伸びてはいけないので、注意が必要です。
真新しいヤスリではひっかっかりがでるので、使いこなした油目ヤスリで、かかっているのかどうか分からないくらいのもので慎重に削っていいきます。
鉄と異なり真鍮は焼き入れができませんから、焼きまなして切削し、焼き入れして固くすることができません。
ほんのわずかな段差が付いています。
四角く窓枠を削って行く時のコツをホワイトボードで説明されていました。
使っているヤスリです。
魚地球印とスイスのバローベの油目ヤスリです。
その注意点をホワイトボードで説明がありました。
3面1組を2組作成し、銀ろう付けして6面のランタンとします。
ランタンの窓枠は微妙に船尾方向に傾くので、その型取りが大変です。上手に展開図を作成するのは意外に難しいです。
台形を単純に6枚つないでも上下が平らになりません。
他の会員からソリッドで作って面を確認していると紹介がありました。
SHADEなどCGソフトでソリッドで造形し、面を展開すれば正確に書き出せます。
1mm厚さのアクリル板を使ったズレない綺麗な船尾窓枠の作成
金岡事務局長から説明がありました。
図面から窓枠を切り出すために、スキャナーで読み込んでラベルシートにプリントアウトします。
台木に貼り付けます。
上部をアクリル板の上端と合わせています。
旋盤に円盤状の厚さ0.5mmのカッターを装着しアクリル板に溝を掘ります。
少しずつ削ります。
横の桟用の溝が掘れました。
アクリルの上下を切り離します。
縦溝を掘るため、手間ですが窓枠を全て切り離し縦横を並べ替えます。
真直ぐな溝を掘るために、ここまで手間をかけるのかと思いますが、これが仕上がりの差になります。
縦溝が掘れたら、もとの位置にもどすとともに、窓以外のアクリル板は切り取ります。
アクリルの溝に縦桟をはめていきます。
製部分の加工で、窓枠0.5mm×1mmの棒材等を加工しておきます。
アクリルの溝に縦桟をはめていきます。
接着剤は最小限にします。
特に櫛状に凹を削らすに、単純に横桟はめていきます。
ノギスを測定ではなく固定具として使っています。スターンへの取り付けをしていきます。
窓枠は単純な井形ではなく両端は若干歪みますので、そこも図面どおりに加工します。
図面と合わせます。
ピッタリです。
1797年の38門フリーゲート艦 HMSナイアド号の組み立て
次に金岡事務局長が手掛けているアマゾン級の改良型1797年の38門フリーゲート艦 HMSナイアド号の組み立ての紹介です。
この船は、米国のシーワッチ・ブックスで上下巻で売っています。
詳細なフレーム図面のCD付きです。
ナイアド号はトラファルガー海戦にも参加しています。
コンスティテューションのようなヘビー・フリーゲート艦(24ポンド砲44門)とは異なり、アマゾン級の英国のフリゲート艦で、18ポンド砲38門艦です。フランスの18ポンド フリゲート艦がライバルに当たります。
快速で13ノット以上出たとあります。
排水量は1000tガンデッキ45mで、乗員は284名 5級艦ですが大きな船です。
戦歴も素晴らしく多数の船を拿捕しています。
長寿艦で1866年まで軍艦 払い下げられて1898年まで働いています。
キャプスタンは錨を巻き上げるのに使われました。
アンカーロープは大変太くキャブスタンで直接巻くことはできません。
図の様に、メッセンジャーロープ(Messanger)という索を船首のローラーMessangerRollersとキャプスタンCapstanの間に楕円にかけ、
このロープを回します。アンカーロープはこのメッセンジャーロープに別の細い索ニップルnippingで数か所巻き付け船倉のメインハッチMainHatchまでくると、この索を解きます。これを延々と繰り返すのです。
この作品は船主付近のメッセンジャーローラーまで正確に再現しています。
ビームからメッセンジャーロープをつるす金具や船主付近のローラーまで正確に再現しています。
メッセンジャーロープが分かるでしょうか?
キャプスタンも金具も含め上下2段も逆転防止装置付きで再現されています。
これは調理用のストーブで英国標準装備でパン焼きオーブン、湯沸かし、煙突の煙流を利用して串を回転させるという大変優れたものです。
煙突の向きは風向きを考えて自由に変更できたようです。
木栓を打つために、金属板に穴をあけ、ヒゴ通しの要領で直径を細くしていきます。
下穴を開けるため、ピンバイスに真鍮パイプをかぶせて深さ調整しています。
同時に折れにくくなっています。
これで木栓を打ったあとを処理します。
よくみるエルム・ツリー・ポンプは、原理的に10m以上くみ上げができません。
実際は8mまでだったようです。
毎分100リットルほど組み上げられました。
これはバケツリレーのようなものです。
クランクに合計7人が張り付いて毎分1tもの水をくみ上げられたようです。
この時代の船は基本的に水漏れしますから、ポンプが動かなければ沈みます。
クランクで動くように精密に再現されています。
船首は基本的に風下になるので、ここにトイレが設けられました。
索は、ブリーチ索以外は省略しスッキリした仕上げになっています。
女神像の手のかざし具合をスターンの曲線に合わせるのに苦労されたそうです。
材から少しずつ掘っていきます。
船台も凝っていて造船所のスリップのイメージです。
今回はここまでです。次回以降をお楽しみに・・・・