9月の例会の様子

7月の作品展出品のHMSダイアナとスピネル

26名の参加です。
4月から8月までの例会は筆者が欠席でアップできていません。
月が変わってしまいましたが、9月例会の様子です。
7月の作品展に出ていた2隻の製作者によるプレゼンがありました。

HMSダイアナについて

1794年に進水したArtois級の38門艦 5級艦フリーゲード艦

John.Henslow卿が設計

983t、270名、同型艦7隻
Artois
Apollo
Diana
Seahorse
Diamond
Jason,Ethalion)
武装は
9ポンド砲10門、
18ポンド砲28門、
32ポンドカロネード砲8門
(○○門艦という場合、なぜかカロネード砲はカウントされない。
出典:Frank Howard著
Sailing Ships of War

 

 


1795年8月僚艦とともにオランダVOC Cromhout他2隻を拿捕、Croouhoutで46900ポンドを得る
ナイルの海戦にも参戦し、フランスのフリゲート艦Elisaを撃沈しています。
結構活躍し多数の拿捕や撃沈の戦歴に輝いています。
1815年にオランダへ36796ポンドで売却され、1839年ドッグで焼失。


模型は、ジョティカの1/64

船体は、キットの材ではなく、柘植、クルミ、黒檀を使用。 青い部分は塗り

 

 


ウエルは5mm角材の黒檀4本を使用

 

 

 

 


船首部分のウエルの曲げは黒檀の裏側に鋸を入れて曲げているが、これは大変難しい。

 

 


階段の段数は実際より多めにした方が綺麗に見えるとのこと。

 

 

 

 


二種類のポンプ。

手前がチェーンポンプ

後ろがサンクションポンプ。

各々2基。

 

余談ですが、
この当時の船は漏水が著しいのでビルジポンプは非常に重要ため2セット設置しています。。
吸引ポンプは、サンクションポンプ、コモンポンプ、エルムツリーポンプ、ブレーキポンプとも呼ばれ
15世紀末から使われ、構造が単純で故障がないが、原理上30フィート、実用上は28フィート以上の深さから汲み上げができない。またくみ上げ量が25ガロン/分、毎時約114リットルと少ない。ビルジのくみ出しの他、消火用や甲板清掃用にも使われている。
特に英国では18世紀終わりごろからCistern Sistem(貯留槽システム)といって
喫水線1m程下に、海水取入れ口を設け、船体内の水槽に海水を貯め、それを甲板清掃用の吸引ポンプで汲み上げるというものが実際にありました。もちろん海水導入管にはストップ弁が付いております。


17世紀から使われだしたのが、チェーンポンプ、8人がかりで毎分1tと汲み上げ量が多く高さ制限がない。しかし、構造が複雑でゴミごみが詰まったり故障が多い欠点があった。18世紀に、英国で改良がすすんだ。Cole-Bentinckタイプと呼ばれる、WilliamCole技師とJohnBentinck船長が共同で改良にいそしみ、4人で43.5秒で1tまで効率を高めた。しかし木管の中をチェーンにつけた多数の鉄の円盤とそれより大きな革の円盤が弁となって水をくみ出す仕組みで、その革を20日毎に交換しなければならなかった。
維持管理が大変手間で、駆動に多人数を要するなど、小型船では導入されていない。
また、フランスや米国でもあまり導入されていない。また商船では全く使われていません。
出典:Braian著Arming and Fitteing of English of War
P.Goodwin著Construction and Fitting of the English Man of War
Thomas著 Ships Bilge Pump


脱線しましたが、
甲板は幅4mmのものを張り、釘は直径0.5mmの真鍮を打っている。

外板は二重張りで厚さ1mm幅4mm

 

船底の銅版はキットものもでなく別途購入

釘跡がエッチングされている優れもの。

 


ハンモックネットは手芸材を利用しています。

 

 

 

 

ダンブルフォームは、フランス艦と比べると極端ではない。
船首像の作成のコツとして、敢えて瞳をいれていない。
ビレイピンもキットは、短く太いので使わず自作のものを使用。
ラダーの銅版張りは大変難しい。
柵は本当はロープだが、綺麗に撓まないので、チェーンに代えている。

 

アンカーストックで注意したいのは、幅方向にはテーパーしていないこと。

なぜか真っ直ぐである。

 

 

 


マスト作業では、必ず艤装前にトップの下につく滑車を忘れずに全て付けること。

マストのウールディングの終末の始末も注意が必要。

 


フートロープはとても難しい。
これだけの作品を僅か10箇月程で完成されたそうです。とても人間業とは思えません。

 

 

 

 

 


スピネルの製作

実物を例会に持ち込んでの講義でした。

 


東京のザ・ロープの故竹内氏が書かれた図面(RUBYⅡ1810)からのスクラッチビルドです。

 

 

 


船体はスクーナ船です。

キールは4mm厚のシナベニアを使っています。

図面と格闘しながらの作成だったそうです。


艤装の精密さは大槻会員ならではのもので、大砲のテークルも極めて精緻です。

 

 

 

 

 

 

 

 


船体も大槻会員ならではの素晴らしい仕上がりです。

 

 

 

 


油目ヤスリで研いでおられるそうですが、
氏ならではの技で、普通の技量では油目では目が詰まってしまいます・・・・・・・

 

 


 

 

 

 

 


 

 

 

 

 


 

 

 

 

 


 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 


帆船模型教室の案内も事務局からされました。