6月の例会の様子 その1

〇チャールズヨット 田中会員
〇パントラ     中島会員

久々に例会を開催しました。

17名の参加でした。(^o^)/

今回は内容が濃いので「その1」、「その2」の2回に分けてお送りします。

作品展は中止ですので、7月も例会は同じ場所であります。

久しぶりの例会です。金岡事務局長から事務連絡がありました。

 

 

 


帆船教室の課題作品のチャールズヨットの製作について田中会員から報告がありました。

初日9月1日の顔合わせの時の様子です。

 

 

【9月】
フィラー(充填材)をバルサでやっているところです。
バルサの代わりにファルカタを使ったほうが廉価なのと、ピンがしっかり刺さるので良いとのことでした。
ファルカタは熱帯マメ科早生樹Paraserianthes Falcatariaです。マメ科ですので荒地で早生でき環境にやさしい材です。比重0.1~0.3と軽軟で加工性は容易。南洋桐とも言われ桐に似ています。桐の集成材と値段も似ていて廉価です。


 フィーラーを充填したらペーパーヤスリで成形します。
フィーラーの充填とあわせて内側にエポキシ樹脂を流し込んで補強しています。
エポキシ接着剤は他の接着剤と異なりそれ自身が樹脂ですので、この様な流し込みの様な使い方ができます。
他の接着剤ではこのような使い方はNGです。


【10月】次に内張を行います。
船首、船尾とも丁寧に行います。
基準外板を貼り付けます。正確に測って位置決めをします。

 


【11月】
外板を左右交互に張っていきます。

 

 

 

 

貼れたところで、田中会員は艶消し黒の塗装をされています。

マスキングテープで覆いながらエアブラシで塗装されています。

今はエアブラシもコンプレッサーも大変廉価で入手しやすくなりました。
自宅内での作業なので、段ボール箱内で作業するそうです。
塗装後、シルボン紙で研磨して半艶にされています。後で、金属部品が入った時に映えます。

シルボン紙はレンズ磨き用の紙です。


【12月】
甲板を張っていきます。

 

 

下地の上に甲板材を1枚づつ貼っていきます。

 

 


田中会員は爪楊枝を利用して直径0.5mmで釘打ちをされています。

 

 

 爪楊枝は先のみ使用で大部分は使用しません。
剣山のようになっていますが、切り離し研磨します。

 


グレーチングも取り付けていきます。

 

 

 

 

 


【1月】~【3月】の写真は省略です。是非教室へ来てください。
装飾のメタル部品は今回の教室中、1名だけ寸法が狂っていたそうです。
ダイキャストで寸法違いが出来るのか???ですが実際に寸法違いがあったそうです。
金属部品はエアブラシでプライマ、黒を拭いた後に、刷毛で金を擦り付け質感を出されています
滑車の塗装方法などエアブラシを使った塗装について詳しい説明がありました。
詳細は是非例会に参加して直接聞いてください。メッチャ詳しいです。
リギングをステイから順次とりつけていきます
マストも左右に揺れず綺麗にはまり、大変良いキットのようです。
セールには細いピアノ線を入れておられます。
セールのミシンがけは省略し鉛筆で線を書かれています。
旗も綺麗に風に波打っています。
蛇足ですが、セールと旗をつける場合には、船が風上に向かってクローズホールドしているのか
風と直角にアビームしているのか、風下へクォーター・リーで航行しているのか
意識しないと、セールの開き方が異なりますし、旗の流れ方が異なります。
航行している船上では真の風向きは分かりません。見かけの風向きに、旗も流れますので要注意です。
 道具の紹介もあり、中でもクリアーパーツ用の低白化瞬間接着剤 ウエーブ社の×3L(かけるさんえる)の紹介がありました。
殆ど白化しないそうです。価格もリーズナブルでヨドバシカメラでも売っていて入手も簡単なようです。

 

 

【4月】
4月に完成したそうです。9月から約半年の作業です。
大阪でここまで、エアブラシを使いこなしている方は、おそらく居ないと思います。コツさえ掴めば大変便利なエアブラシですが、上手くいかないと粉を吹いたり、水を吹いたり、塗料が流れたりとか結構大変です。
また、後片付けの仕方とか、コンプレッサーの圧力調整、梅雨時期の水抜きなどの注意点や、染料、顔料の吹き加減の違いとか、塗料のメーカー毎の違いなど是非、じっくりとお聞きしたいものです。また、黒色で下地を作った上で金属粉を擦り付ける塗装は、凄いと思いました。
最近、金属塗料「ヴェロメタル50アクア真鍮」プラスチックや木材の表面を金属化する特殊塗料。黒染め、錆び加工も可能
樹脂製や木製の大砲に使えば、黒染めして更に錆びも出せるというものです。
こういった最新の金属塗料の情報も是非講義いただければと期待していまいます。



次は、中島会員の新作 構造模型 パントラです.
この24門フリーゲート艦(9ポンド砲22門 6ポンド砲2門)はバウンティ号捜索をしたことで有名です。
ジョン・ウイリアムズの新設計の1776年型Porcupine(ヤマアラシ)級フリーゲート艦10隻の9番艦で
王立海軍造船所デプトフォード・ドックヤードで1778年3月に起工され、1779年5月に進水しています。


船体構造は、ダブルフレームのメインフレームの間に2つのシングル・フレームのフィリング・フレームが入る構造です
ダブル・シングル・シングル・ダブルと並びます。

 


 フレームの間隔は1インチ(25.4mm)でこれが換気スペースとなります。
1750年以降は4thフトックが導入されています。
ダブルフレームで交互にフロアー、1stフトック、2ndフトック、3rdフトック、4thフトック トップティンバーと並びます。
このフロアーやフトックの継ぎ目を横から見て綺麗な曲線状にそろえる必要がありますが上手くいかなかったそうです。


製作方法はハロルド・ハンの方式です。この方法は、船体を倒立させた状態で、キール部と両舷のトップティバーの延長材の3点で固定します。

独特のフレームを要するのと、延長材の部分で材が無駄になる欠点がありますが、フレームの位置決めがカッチリしており欠点は問題となりません。

このアルミフレームですが、簡単に出来る割にガッシリ固定されているとのことでした。

 

 

 


 フレーム材はミズメザクラで色合いが大変良いとのことでした。
ウエルは黒檀を張ったつもりがどうも紫檀だったようで、色合いと白吹がありイレギュラーだったそうですが、亜麻仁油を塗れば問題ないとのことでした。
カウンターティンバー、トランザムのとりつけは、簡単に出来たそうです。結構位置決めが大変な作業なのですが、流石です。


 デッキ・クランプ、フロアー・ライダーが綺麗に取り付けられています。

 

 

 

 

デッキ・クランプはビーム(梁)の枕となる部分です。これでビームの高さが決まりす。
キールと水平ではなく微妙にシアーでしなっているのと、左右で高さを正確にあわせることが重要で
位置決めは結構大変なのですが、流石です。

 

 最下甲板の下、ホールド部分の作りこみです。
船大工たちの部屋とセイル・ルームが綺麗に作られています。
ビーム(梁)にはハンギング・ニー(腕木)と英国艦の特徴の水平の腕木、ロッジィング・ニーが綺麗に取り付けられています。

 

またメインマスト付近に必ず作られるショット・ロッカー(弾薬庫)も綺麗に作られています。
弾丸は大変重いためマスト付近に庫が設けられます。

 

またメインマストの根元ということで、
チェーン・ポンプとエルムツリー・ポンプが2組ずつ設置されます。
この時代の船は相当漏水するのでビルジ・ポンプがなければ沈みます。
エルム・ツリー・ポンプ用の丸い穴が空いています。このポンプは井戸にある普通の手押しポンプです。
構造が単純でメンテナンスフリーですが、原理上10m、実際には7~8mまでしか汲み上げられないとの、汲み上げ量が少ないことが欠点です。
四角い穴は、チェーンポンプ用の穴で、2つで1組です。このポンプは木箱のチューブ内にバケツリレーの様な仕組みで水を汲み上げるポンプで、現在は全く使われていません。
汲み上げ量が非常に多く、汲み上げ高さも10mに制限されません。
ただ、構造が複雑で頻繁にメンテナンスが必要な点が欠点です。この船にはチェーン・ポンプも2組設置されています。

製作の丁寧さも凄いのですが、なんとここまで2週間で出来たそうです。
凡人ではこれだけでも1年はかかってしまします。
 ところで、何気なく見ていると違和感がないのですが、この写真が凄です。
本物のように置くまでピントがあっていて、不要な影がありません。
相当絞り込んでられるそうですが、ライトもフラッシュも使っておられません。
また、このアングル、どこからとったのか?と考えると???だらけです。
製作はどんどん先へ進んでいるそうです。
また次回のお楽しみとしましょう。(^o^)/