6月28日開催の例会の様子の
「その2」です。
今回は「押切による釘の製作」と「構造模型 フランス・フリーゲート艦 オーロラ」の紹介です。
7月も例会は同じ場所であります。
今回は、金岡事務局長から2題です。最初は、押切による釘の製作です。
舵などの帯板への釘加工は見栄えがするので、是非チャレンジしたいところです。
キットに付属する釘は大抵オーバーースケールで大きすぎます。
そこで自作するのですが、微小な釘の真鍮加工で釘の頭の加工は大変手間です。
通常は、旋盤を使って加工するか、釘の頭部分をハンマーで打出すか、どちらにせよ大変手間がかかります。
今回はビックリするほど簡単な方法の紹介です。
直径0.8mmや0.6mmの真鍮棒から釘を製作します。
釘を押切るための角のある鉄棒と、MDFなどの硬い台が必要です。
押切るための角のある鉄棒は、ヤスリの切削目をグラインダーでつぶしたり、ステンレスの定規をつかったり、いろいろできます。
大切なことは無理やり押切ることなので、▼であれし■であれ断面の角で真鍮棒を無理やり押切ります。間違ってもノコギリやナイフヤスリ(両刃の目立てヤスリ)で真鍮棒を切ってはいけません。
真鍮棒を焼きなます場合でも空中でバーナーで炙っています。
MDFなどの硬い台に真鍮棒を置いて、▼や■の断面の角でゴリゴリと押切ります。
切り終えたところです。切断面にバリがあるのが分かると思います。
これが釘の頭になります。
これをルーターやピンバイスで加え、細かいヤスリで丸めます。
こんなもので、ちゃんと止まるのか不安ですが、意外に0.8mmでも0.6mmでもパッシと止まります。
黒染して舵の帯の鋲打ちをしているところです。
バッチリ綺麗に釘頭が揃っています。
構造模型 フランスの22門5級フリーゲート艦 オーロラの製作紹介です。
この船は17世紀の特徴であるスプリットセイル・トップマスト(バウスプリットの先が折れ曲がっている )を備えています。このスプリットセイル・トップマストは理屈に合わない帆でのちにジブセイルに変わっていますが、17世紀当時、横帆が大変好まれた証だと言われています。
フランスの海洋博物館の出版社ANCRE(アンクルと発音します)から素晴らしい本が出版されています。
115ユーローと高価な本ですが、素晴らしい1/48の図面が多数ついています。
ANCREはSEAWACTHほど送料は高くはありません。10ユーロ程度です。
素晴らしい図面を利用して3D-CADで図面を描いています。
今回のスケールは1/48と大きめです。
この1/48スケールは英国のドッグヤードモデルの正規のスケールです。
一見中途半端は数字でなぜ?
1/50と思いますが、英国はメートルではなくフィート。
1フィートが12インチですから1/12 クォーターで1/4
合わせて1/48です。
購入材料の一覧です。材は、ミズメ桜と黒檀です。どちらも硬い材です。
ミズメ桜は良く曲がりますが、黒檀は曲げるのは困難です。
そのため、黒檀は、薄い材を調達しています。
材は、厚さ指定でプレカットしたものを調達しています。
材の量が多いのは、ハロルド・ハンの方式でフレーム取りするためで、材の歩留まりは数割程度です。
ハロルド・ハンの方式では、四角でフトック毎に接合してからフレームをバンドソーで切り出します。
材をダイアゴナルに対して直角となるように注意して角度を調整しガイドを使ってサーキュラーソーでカットします。
フトック間の接合部の角度が正確に出せますが、材の歩留まりは低くなります。
このような治具を使ってサーキュラーソーで正確な角度でカットします。
たった1日でカットされたそうです。
極めて速いです。
正確に組み立てるには、平らな台が必要です。
大理石の平板の上に図面を置いて、フトックを並べていきます。
正確に並べられる様にLEDのバックライトで図面を透かします。
以前は蛍光灯を使われていたそうで、最近LEDバックライトに変えられたそうです。
この治具は厚さの最終調整治具で、フレームの厚さの板を付けているので、正確に厚さの調整ができます。
ダブル・フレームで正確な位置にフトックを並べます。
接着は木工ボンドを使います。
アクリル板で圧をかけてダブルフレームを密着させますが、ここで工夫されています。
ただ単に、重ねたフトックにアクリル板で上から圧を加えればフトックはズレます。
グングン切り進んでいきます。
このプロクソンのディスクサンダーは現在販売されていません。
小さめのディスクサンダーです。
クロスカットの刃よりもサンディングペーパーの方が良く削れます。
フレームの上端には、治具との位置決めのための突起がちゃんと用意されています。
結構な迫力があります。
各フレームをキールと左右舷の上端の3か所で位置決めします。
左右舷上端部分は実際のフレーム長よりも延長するので若干材が無駄になります。
しかし、各フレームの位置が正確に歪まず傾かず固定でいきるので便利な方法です。
フレームの上端にピンを打ちます。
フレームの間隔はだいたい数インチであったようです。
ここが空気の通り道になります。
スペーサーをフレーム間に挟んで綺麗に並んだフレーム群
気持ちよく並んでいます。
こまで綺麗にそろえる様にするには、各作業が1mmの狂いもなく正確に図面通りにカットされていなければ、できません。
内側と外側をサンドペーパーで成形するのですがこのままではフレームがぐらつく恐れがあるので、補強材で補強してサンディング中にフレームがぐらつくことの無い様にします。
エポキシ接着剤はあとで綺麗にとれるそうです。
この状態で外側をサンドペーパーで成形していきます。
ゴリゴリ削っていきます。
イギリス艦とことなり顕著なカントフレームがありません。
ほぼ並行に来て、船首のホースピース材となります。
ラウンドカッターで成形します。
トランザムが入りました。
綺麗にそろったトランザム群とウイングトランザム
ここまで綺麗に組付けられると気持ちがいいですね
次にデッキトランザムを組み付けています。
綺麗に組めています。
次にデッキ・クランプ(ビーム:梁の枕になるところ)の位置決めです。
定規を組み合わせた治具で正確にクランプ位置を決めていきます。
この位置決めでデッキのシーア(反り)が決まりますので正確に位置決めします。
今回はここまでです。
7月の例会をお楽しみに(^o^)/