11月例会の様子、その2です。
今回は中谷前会長のミシンを使わない帆の作成です。
パワーポイントを使って説明がされました。(ライニング:補強布)の作業を説明しているところ。)
ホワイトボードを使って丁寧に説明がなされました。(短冊状のセールの張り合わせについて説明しているところ)
帆布のジョイント部分を、重なりで表現する帆の作成
【模型における、一般的な帆布の、ジョイント部の表現方法】
次の3とおりあります。
① キットの帆布の印刷されたものをそのまま使用
② ただの布切れの場合は、鉛筆等でジョイントの線を表現
③ ジョイントをミシン掛けして表現
【復元船の帆走写真】
ところで実際の帆船のセールを良く見ると、縫製の糸は細く、こまかく縫っているため写たず重なり部分が影となっていることが分かります。
【ミシン掛けによる表現】
一般的には、ミシン掛けをして、ジョイント部の表現とする人が多い。
但しミシンをうまく使えないと、布にしわが寄ったり、糸の太さによっては、スケール感が損なわれることがある。
私も初心者の為、自信が持てなかった。
【ジョイント部の考え方】
振り返って復元船の帆走の写真を見ると、ジョイントの重なり部分が灰色の影となって写っている。
縫製の糸は細く、こまかく縫っているため写らない。
こういう形で表現したいと考えた。
横浜の同好会が出している「帆船模型製作資料集」によると、重なり部分の幅は1.5インチ(4cm弱)程度とのことらしい。
復元船「ハーマイオニー」や「ゴースベルク」などのビデオではもう少し広いような気がした。(5~6cmほど)
① 接着テープ
テープ幅は6mm使用
② 施工順序
▼使用する布は、上下のタブリング分+アルファの長さで切断しておきます。
▼先ず最初に使う布にチャコールペンで1枚分の線を引きます。
一番端はタブリング分をみて多めの幅にします。
今回はコーレル社の「スコットランド」のキットを使いました。
但し布は厚みがあり過ぎたので別の布を使用しました。
▼先ず最初に使う布にチャコールペンで1枚分の線を引きます。
一番端はタブリング分をみて多めの幅にします。
今回は1の幅13mmとしてそのうち1mmを重ね代としています。
▼引いた線に合わせてテープを接着します。
接着したら、テープの両端から1mmのところに線を引きます。
これが重ね代になります。
▼次にテープの端から、布の幅-1mmの長さのところに1本線を引き、同じ長さの分を、もう1本線を引きます。
この線に沿って又テープを貼って接着します。
先ほど同じようにテープの内側1mmのところに線を引きます。
次の写真は、テープを貼ってから、一つ前のテープ部分をカットしたところ。
カットは布用のロータリーカッターを使用しましたが、テープ部分はよく切れるデザインナイフでもよいと思います。
▼同じことを繰り返して1枚の帆に必要な枚数を切り出します。
6mmのテープを使いましたので、中心の4mm部分が余ります。
これはリーフポイントに使用しました。
▼全て切り出したら、テープの無いほうの端(ノリをつけていない側の)に、1mm巾の線を引き、端からテープの保護紙を外して順番に接着していきます。
▼キットの帆の図面の形状にチャコールペンで印を書いていきます。四周の線の外側のタブリング部分になるところにテープを貼って接着していきます。前ページはタブリングブにテープを接着しているところ
③帆の完成
折り曲げ代をみて布をカットします。
この時、折り曲げ部分の角が重ならないように注意します。
一度折り曲げ位置で上からアイロンをかけ、折れ目を作っておきます。
テープの養生紙ををはがしてアイロンをかけ、接着します。
残りの周囲を同じようにして接着していきます。
横帆では、帆桁につく面以外は、細い真鍮線を3方向に入れています。
接着完了
四角い帆(横帆)を張るときは折り曲げたほうを後ろ側(船尾側)にして取り付けます。
説明図にある線(右図)はリーフバンドといい、外周の折り曲げとは反対側の面(前面側)に貼ります。
リーフバンドを接着した帆
布に接着テープを付け、必要な幅にカットして、接着してください。長さは少し長めにして、接着後カットします。
リーフバンドに書かれている紐はリーフポイントといいます。
リーフポイントの糸の縫い方は右図を見てください。
リーフポイントは帆の両側に垂れ下げます。
檜で枠を作り、それに帆を括りつける(上部は帆桁にほを取り付け。下はロープにて帆を引っ張る)
帆に木工ボンドを水で薄めたものを塗り付ける。この時周囲のロープ近くには水がつかないようにする。
裏側からドライヤーで風を送り、帆を膨らませ、乾燥させる。
凸凹ができる場合は再度水を付け風を送る。
施工時の注意点、問題点
▼使用するテープは、養生紙との接着力は弱い為、コストを考え最初に1mmに切って使うのは、養生紙とはがれやすくなり、結果的には無駄になりやすい。
▼アイロンによる熱接着なので、帆を膨らませた状態にするため、ドライヤーを掛けた時、あまり熱を加えすぎると、テープのノリが溶けて隙間がすいてくることがあるので注意。
▼帆を膨らませるために、今回は水で薄めた木工ボンドを使用した。但し白井さんの「帆船模型製作技法」では木工ボンドは水分により膨らみ癖が戻ったり、かびが生えやすくなるので、適当ではないと書かれている。白井さんは、つや消し透明ラッカーのスプレーを推奨している。神戸の平田紘士さんは、粘土で形を作り、ヘアスプレーを使って固められている。
私は粘土を使わないのでヘアスプレーで固めるときは最初に水を付けて湿らせてから、ヘアスプレーを吹いて乾燥させてもよいと思います。
木工ボンドは手軽なため、乾燥状態を保てればよいのではないかと考えて、リスクをとって使っています。
短冊形を多数つなげたセールがこの様に綺麗に仕上がっています。