今回も、前半、後半で2回に分けてお送りします。
最初は、大石会長のフランス、ロッシュフォール海洋博物館(Rochefort Musee de la Marine)
この博物館の目玉はの復元船 L’Herumione(エルミオーネ)1779です。
1997年から1779年と同じロッシュフォールで当時と同じ道具で建造をはじめ2015年に完成。
ただ、エンジンと発電機が備えられています。
2015年4月から4ヶ月かけて米国東海岸へ航海しています。アメリカ独立戦争へのルートと同じだそうです。
2200万ドルかかったともネットにでていますが・・・・
この船は、12ポンド・フリーゲートと呼ばれる、12ポンド砲を30門装備した当時としては大変成功したシリーズです。
このシリーズが18ポンド・フリゲートへと発展していきます。
L’Herumione(エルミオーネ)は1748年と1779年の2種類がありますが、ロッシュフォールで建造されたのは1779年です。
この船は、Henri Checillard Seniorの設計によるコンコルド級(LaConcorde1777)4隻のうちの1隻です。
大変綺麗な船体をしています。
10~14ノットもでたと文献にありますからたいしたものです。
クローズホールドで8~10ノットというからたいした風上性能です。3ポイントまで風上に上れたと文献にあります。
The History of The French Frigate 1650-1850 Jean Boudrot
博物館に話を戻します。
大変綺麗な復元船です。
ここで、会員から疑問の声があがりました。
「ガンポートに蓋がない」シングルデッキで蓋がなければ浸水するではないか?
また、紹介された写真ではガンポートの奥になにやら灰色の板が入ってる。
これは何なんだ?
先ほどの文献をみると
Gunports are fitted with half lids と記載され、full port-lidではないとありあます。
つまり、通常の砲蓋がないのは、正しいようです。
half lids とは何か?
なんと先の文献には大胆にも74門艦の第2部を参照とあります。
数行の説明ですから備考欄記載してくれてもいいと思うのですが、どちらも数万円と高価な本ですから。
気を取り直して、同じ著者で有名な74門艦の第2部をみますと
1インチのモミ材の板でフックとリングで支えられているようです。
絵で見るとこんなかんじで、確かに浸水が防げそうです。
内側は朱色、外側は黄土色で塗装されていたとあります。
もう一度写真をみると、砲に布はかけていませんが、絵のとおりです。
最後尾の窓は、ポート・ライトまたはポート・サッシュと呼ばれる装飾窓になっています。
さすがフランスの復元船、考証はバッチリのようです。
次に中島会員も加わって船首部分の議論がありました。
また、フィギュアヘッドがライオン像なのですが
このライオン像が「まことに穏やかな表情」で、ほんまかいな?という声が聞こえました。
に記述があります。
英国と異なり、王冠はなく、ライオンの鬣は、オランダ、英国と比較してカールは緩いようです。
顔つきは、攻撃的なブルドックではなく、よそよそしい表情と記述されています。
このライオン像も考証はバッチリのようです。
ただ、基本的にはフランス艦でライオン像は例外の部類に入ります。
英国、オランダと異なりフィギュアヘッドのライオン像が使われることはまれであると
Old Ship Figure-Heads and Sterns (Dover Maritime)
L. G. Carr Laughton
には記載されています。
次は、太田会員のエルミオネです。
このキットは2万ちょっとで入手できるそうです。
この価格で3本マストというのは大変お得感があるように思います。
1779年のフランスの12ポンド砲26門のフリーゲート艦です。
フランスでは17年間、33億かけて復元しているそうです。
廉価なキットですが、図面が付いていません。
DVDがついているようです。
レザー・カットは綺麗ですが、一重張りとなっており、外板は30cmの短く、材質は・・・
装備品は砲弾まで付いており、ランタンのエッチング・パーツは見事なものです。
ちょっと気になるところですが、廉価なプライスを考えれば・・・
キットのウエールは塗りわけるようになっていますが、太田会員はウエールを追加しています。
チャネルは銀ロウ付け加工と黒染めとグレードアップされています。
フランス艦は船体形状も流線型で大変美しく、見た目にも抵抗が少なそうですが、英国艦よりもフランス艦が速かったそうです。
今回はここまで、次回は太田会員のコカと西川会員のエセックスです。
お楽しみに(^^)/