作品展後最初の例会を開催しました。
17名の参加でした。
今回は作業実演もあって濃い内容でしす。
事務局長から作品展の結果について総括がありました。
沢山のご来場ありがとうございました。
太田会員から作品展に出品されていたフライについてギャレーの制作など、工夫した点の説明がありました。
作品展には積載するはずのボートが間に合わなかったと残念がられていました。
ストーブも丁寧に製作されています。
ただ、完成すると甲板に隠れて見えなくなってしまったのは惜しいと言われていました。
アンカーロープの重量感をだすのに苦労されたそうです。
フォアデッキで隠れてしまったストーブが見えます。
太田会員は今回5作品も出典されています。感謝、感謝です。
次は同じく太田会員の1/150ミニュチュアモデルのゴールデンハインドです。
以前に購入された1/50 アエロピコラのゴールデンハインドの図面を1/3にして1/150とされたそうです。
トップのデッドアイをどう捌くのか?
製作の疑義について、中島会員も加わって議論に華が咲きます。
リアル例会ならではの良いところです。
ミニチュアモデルと言えば世界の第一人者は、米国のLloyd McCafferyロイ・マッカフリーでしょう。その作品は精密そのもの、です。
彫刻も素晴らしくフィギュアヘッドの精密さはまさに神業です。
本も出版されています。筆者は20年前に入手しました。
1/150といえば、ミニチュア帆船模型のレジェンドの坪井悦朗さんが、浪華丸を1/150で製作されています。
坪井さんの代表作は1/300のラ・ルノメLa renomméeやVictoryが有名です。
横浜の作品展でもみれます。
次に早川会員からセールについて講義と実演がありました。
セールの外周の補強のためのボルトロープとセイルの縫い付けについてです。
必ずロープの撚り目に沿って、3本撚りの1本にかがるように縫い付けます。
従って、外観上は縫い付け糸は見えません。
実線でもこれが見える様では擦れて縫い付け糸が切れます。
この精密な作業に一同唖然です。
蛇足ですが、ここらの説明については、文献もありますので御紹介です。
In sewing on the bolt rope you work from left to right,with the rope on the near side of the canvas.Thus the needle goes first throught the rope and then the canvas.The needle must go under the uppermost strand nearest the sail,and never through a strand.The proper size needle would be a No15 or 14,and if the point is dulled a bit on an oilstone there is less of a tendency to pick up or go throught an adjacent strand.
ボルトロープの縫い付けでは、キャンバスの手前側にロープを置いて、左から右に作業します。従って、針は最初にロープを通り、次にキャンバスを貫きます。
針は帆に最も近い一番上のストランドの下を通らなければならず、決してストランドを貫いてはいけません。
針の適切なサイズは 15 番または 14 番です、オイルストーンで先端を鈍らせると、隣接するストランドを持ち上げたり、貫いたり、しなくなります。
次に、セールの端は折り返し(ライニング)の講義と実演です。
セールの端の折り返し(ライニング)は、結構面倒な作業です。
模型では、折り返さずに別の布を張ったり、両面テープを使って折りたたんだり、結構みなさん苦労されています。
今回、早川会員から目から鱗の簡単で綺麗に作業できる手法の紹介がありました。
2mm幅の折り返しを汎用の半田コテに自家製の先端を使った作業の説明です。
これは本当に古いもので特別なものではありません。これに半田こて用売っている温度調節器を付けて低温で安定させるのがコツだそうです。
接着剤やテープは一切使用していません、
実演を見るとコロンブスの卵で簡単できるのですが、その発想に至るのは大変です。
セールの端から2mmのところに金属製の定規をあてて、コテを外側からあて端をたてます。
定規とコテで2mmの布を持ち上げてセール端をL字状に折るわけです。
意外に簡単に時間もかからずサッと作業されていました。
一同ただただ感心です。
全長に渡ってL字状になったら、
実演用の布ですからセールの様な方になっていませんが、ご容赦を・・・
持ちかえて、手で押さえたコ字状にして上からコテで押さえます。とても綺麗にいともたやすく折り返しができます。
こうやって3つ折りを簡単に短時間に特別な道具もなく完成できます。
次に中谷会員からマルタ騎士団のガレー船について製作紹介です。
ガレー船は波の穏やかな地中海を中心に紀元前の古代ギリシャの時代から19世紀まで使われ1571年レパントの海戦(双方300隻のガレー船の戦い)の頃が頂点でしょう。
ガレー船についてちょっと見てみましょう。
紀元前3000年くらいにナイル川で荷物の運搬に使われたエジプトのガレー船です。完全なオープントップで櫂は1段です。
紀元前500年頃のギリシャのガレー船です。
ガレー船はギリシャで大きく発展します。2段櫂bireme 3段櫂triremeもこのころ出現してきます。
ギリシャのガレー船をローマが更に発展させます。
ローマの3段櫂船triremeです。
オールが3段になっています。
漕ぎ手は上下2段の甲板に別れ、上段は椅子の高さで上中のオールを漕ぐように工夫されていますが、これだけのオールが重ならずにリズムよく動かくすのは相当の鍛錬が必要です。このころの漕ぎ手は奴隷ではなく一般市民です。
ガレー船はオールを漕いで4.5ノットだせたと言われています。一説には6ノットとも瞬間では9ノット出せたといわれています。
紀元前3000年の昔から中世に地中海で大きく発展し、1571年のレパントの海戦が絶頂期でしたが、その後もフランスやスペイン、ロシアでは言い換えると地中海やバルト海では1800年ころまで使われた息の長い船種です。
一見すると外観上の大きな変化は見られません。
実は細部は変わっています。
ますセールです。エジプト、ギリシャ、ローマのガレー船は1本のメインマストに四角帆を張っています。
中世になると1,2つのラテーンセイル(三角帆)がつき、17」世紀では四角帆はなくなり2本のラテーンセイルがつきます。3つあるものもありました。
オールの漕ぎ方が変わっています。最初はGalley a la Sensileでオール1本を1人で漕ぎます。従って船が大きくなるとオールの数が増えます。そこで2段櫂、3段櫂がでてきます。多数のオールがぶつからずにリズム良く漕ぐのは熟練の技が必要でした。14~15世紀頃から変わります。Galley a la Scaloggio大きな1本のオールを5人~8人で漕ぎます。これだとオールの数は減り、誰でも(囚人でも奴隷でも)漕げます。
ヴェネチアのガレー船は大きく発展し、1オールを8人で扱う500人規模ものものまで出現します。16世紀には72オールのものもでてきます。この大型化がのちのガレアス船へと発展します。
沿岸で便利な小型のガレーも活躍していました。イタリアからフランス、スペインへも輸出されていました。
地中海やバルト海では18世紀まで使われていました。1802年でもマルセイユには15隻ものガレー船がありました。
ガレー船は多くの漕ぎ手が必要で商船には向きません。また大砲の時代となるとガレー船は喫水が浅く船幅も狭く軽量構造のため、重い大砲は載せられませんし、大砲が後退する船幅もありません。何よりオールの列が邪魔で砲列が配置できません。やがてその地位をガレオン船に譲ることとなります。
製作に当たって、図面の点検から始めねばならなかったそうです。
ヤードが長すぎ、タッキングができないなど不合理な点の修正、漕ぎ手の座椅子の補強修正や見張り台の追加などなど、細部にわたって再検討され修正されています。
そのためん、製作まえにいろいろとガレー船について勉強が必要だったそうです。
ボートを作るように最初に型をつくっておられます。
正確な方にフィラーを充填していきます。
大変なめらかできれいな船体ですあが船首、船尾には特に苦労されたそうです。
160本のフレームが入っていきます。材は主にペアウッドを使って製作されています。床はカステロ、オールもペウッドで朱色部分はサティーネ、大砲はパロサント材の削りだしです。
今回はここまでです。是非、例会にブラっと見学にいらしくください(^o^)/